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読書中にピンときた言葉 第2弾

笠原敏彦、「ふしぎなイギリス」、講談社現代新書、40ページ

バッキンガム宮殿前の大通り「ザ・マル」。ここを進むウィリアム王子とキャサリン妃を載せたオープン馬車はまさに、シンデレラに登場する馬車を想起させた。ベアスキンの黒い帽子をかぶった近衛兵が乗る馬を前後に従えた姿も、童話の世界から抜け出したようだ。非日常の演出こそが、王室の魅力の源泉であることは疑いない。人間には生来、深層心理の部分でこうした壮麗さに魅かれるところがある。イギリス王室が現在も壮麗な行事や儀式を維持する理由は、その神秘性で民衆を惹きつけることにより、求心力を保つためである。このマインド・コントロールの手法は、共産主義のソ連や中国が巨大なモニュメントや建物を作り、その威厳によって人々を統治しようとしてきたことにも通じるものではないだろうか。